FXを始めたばかりの方からよく聞かれる質問のひとつが、「なぜスプレッドって急に広がるの?」というものです。
普段はドル円で0.2銭など、かなり狭いスプレッドで取引できるのに、いざ注文を入れようとすると突然0.5銭や1銭以上に広がることがあります。
「え、なんで?不公平じゃない?」と思ってしまうかもしれません。
でも、これはFX業者がわざと損させようとしているわけではなく、市場の仕組み上どうしても起きてしまう現象です。
この記事では、FXでスプレッドが広がる理由とその背景、そして広がったときの対処法を、初心者の方でも理解できるように解説していきます。
そもそもスプレッドとは?
FXのスプレッドとは、買値(Ask)と売値(Bid)の差のことです。
たとえば、ドル円が以下のように表示されていたとします。
買値(Ask):145.203円
売値(Bid):145.201円
この場合、スプレッドは「0.2銭」です。
つまり、取引を開始した瞬間に0.2銭分のコストがかかっているということになります。
スプレッドが狭ければ狭いほど、トレーダーにとって有利になるということです。
だからこそ「業界最狭水準!」といった広告をよく目にするわけです。
スプレッドが広がる理由
では、なぜ普段は狭いスプレッドが突然広がるのでしょうか?
理由は以下の3つになります。
市場の流動性が低下するから
FX市場は、世界中の投資家や銀行が参加する「相対取引の場」です。
参加者が多く、売りと買いが活発に行われているときはスプレッドが狭く保たれます。
しかし、参加者が少ない時間帯やタイミングではどうなるでしょうか?
注文が集まりにくく、売りたい人と買いたい人の価格差が大きくなり、結果としてスプレッドが広がってしまうのです。
特に注意すべき時間帯は以下の通りです。
このような時間帯は流動性が低くなるため、スプレッドは広がりやすいです。
重要な経済指標の発表時
スプレッドが大きく動く最大の原因のひとつが「経済指標」です。
米国雇用統計やFOMC(金利発表)、日本の金融政策決定会合など、為替に大きな影響を与えるイベントがあると、市場は一気に荒れます。
発表直後は売りと買いの注文が一斉に殺到し、値動きが激しくなります。
このとき、FX業者はリスクを避けるためにスプレッドを一時的に広げます。
実際、雇用統計の発表直後にはドル円のスプレッドが「0.2銭 → 3.0銭以上」に広がることも珍しくありません。
相場のボラティリティが急上昇したとき
戦争や自然災害、突発的なニュースなどによって相場が急変動することがあります。
こうした「予想外の動き」のとき、スプレッドは一気に広がります。
たとえば、日銀の為替介入が報じられた瞬間、ドル円は一気に2〜3円動くことがあります。
そのときスプレッドも普段の何倍にも広がり、まともに取引できない状況になることもあるのです。
業者のシステムや方式による違い
スプレッドはFX業者の提供方式によっても違います。
DD方式(ディーリングデスク方式):業者がトレーダーの注文を一度受けてから市場に流す方式。→ 原則固定スプレッドを提供しやすい。
NDD方式(ノンディーリングデスク方式):トレーダーの注文が直接市場に流れる方式。
→ 市場状況によってスプレッドが変動しやすい。
つまり、「原則固定スプレッド」をうたっている業者でも、例外的に広がるときがあるのです。
スプレッドが広がると困ること
スプレッドが広がると、トレーダーにはこんなデメリットがあります。
エントリーや決済をした瞬間に大きなコストを負担する
思った価格で約定しにくくなる(スリッページ)
短期トレード(スキャルピング)では特に不利になる
特に初心者の方は、「あれ?思ったより損してる!」と感じやすい部分です。
スプレッドが広がるときの対処法
では、どうすればスプレッド拡大に振り回されずに済むのでしょうか?
まとめ
FXのスプレッドが広がるのは、決して不正や仕組まれた罠ではなく、市場の流動性や相場状況、業者の仕組みによって自然に起きる現象です。
流動性が低いとき
経済指標の発表直後
相場が急変したとき
こうした場面では、スプレッドが広がるのは避けられません。
大切なのは、「なぜ広がるのか」を理解し、その時間帯を避けて取引すること。
これが、初心者が余計な損失を避けるための第一歩です。
「なぜスプレッドが広がるのか?」を知っているだけで、トレードの精度はぐっと上がるのでぜひ、スプレッドを生かしてください。